• 地域に根ざしよりよい肉をより安く。
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    提携農家ご紹介02

    「秋山牛」の生産者を訪ねて
    花倉の恵の水と能力を引き出す環境で育つ牛

    静岡県藤枝市花倉秋山牧場

    駿河今川氏の里と伝えられる、静かな山々で育つ牛

    静岡県藤枝市、JR藤枝駅から北に向かい車で約20分。花倉城(別名:葉梨城)址の麓、ここ花倉は、駿河今川氏の里と伝えられる、静かな山々に囲まれた自然溢れる環境が残る地域です。

    2代目当主今川範氏が創建した花倉八幡神社に続く細い道を辿りながらさらに進むと、その先に「秋山牧場」があります。

    「秋山牧場」は、黒毛和牛にこだわり、肥育を手掛ける農家として、花城ミートサプライは、先代より長年にわたる信頼関係を築いてきました。

    「秋山牧場」の牛肉は、甘味、口溶けの良さとさっぱりとした後味が特徴です。サシが赤身本来の深い旨味を味わえることから、その品質の高さと美味しさで安定した人気があります。

    秋山牧場の〇〇さんと、飼育を一手に担う二代目 秋山ちえさんにお話を伺いました。

    はじまりは一頭のホルスタインから

    元々みかん農家であった秋山家は、みかん畑の場所に牛舎を作り、昭和50年、ホルスタイン種一頭から肥育をスタートしました。その当時、ホルスタイン種は生まれた後すぐに屠畜し、挽肉やハムの材料等になっていましたが、肥育して牛肉にする方法に変換。そしてF1種の肥育、BSE問題を経て現在の黒毛和種にたどり着きました。現在は、父〇〇さん(牛の買い付け担当)、母〇〇さん(事務担当)、長女ちえさん(飼育管理担当)、次女〇〇さん(堆肥管理担当)、そしてアルバイトスタッフを含め、主に家族全員がチーム一丸となり牛肉の生産を担っています。

    花倉の恵の水と環境を楽しむ

    秋山牧場の牛舎にいる牛は、現在約420頭(2021年7月時点)、毎週5~6頭ずつ出荷しています。肥育しているのは、沖縄県宮古島の黒毛和牛のみです。かつてのBSEの痛手から奮起一番、「沖縄に行けばF1の代わりになるくらいの牛が買えるかもしれない」ということから、沖縄に行きはじめたということです。それ以来、目利として定評のある父、〇〇さんは毎月、宮古島までわざわざ足を運び、1ヶ月に約20〜30?頭ずつ素牛(もとうし)を購入してきます。

    そもそもプロは顔つきと毛並みで牛の良し悪しを判断するといわれます。その見極め方の基本として、血統、体重、月齢の他にも、伸びの良さやサシの入る傾向など、様々な組み合わせで素牛を選んでいるそうです。

    そして、その8~9ヶ月ぐらいの素牛(約300kg)を27ヶ月(約600~700kg)になるまで、約1年半の間、ゆったりとした環境で時間と手をかけて育てていきます。沖縄産の牛は比較的暑さに強いのですが、寒さに弱いため冬場はおが粉を早めに入れるなど、常に牛の体調管理に気をつけているとのこと。そして、〇〇さんは「基本的にいじめて飼った牛は絶対によくならない」といいます。それは出荷直後に下される肉の評価に歴然と表れることから、牛のストレスと肥育環境が肉の質に大きく影響することがわかります。

    また、牛は、6割以上が水でできている生き物であることから、水と餌は良い牛を育てるための要となります。まず、栄養バランスが良い地元の飼料を使用することは基本となりますが、牛の胃をつくる稲わら(主食/人間のゴハンにあたる)は特に重要であるため、静岡県内の農家から直接譲っていただいているとのこと。逆に、牛ふんを堆肥として供給することで、昔ながらの畜産と農業のエコな資源循環を守ることにも繋げています。

    そして、何よりも「水がとても大事。水の成分によって肉の味は変わる。」とちえさんはいいます。「牛飲馬食」という言葉があるように、牛は1日に20リットル以上の水を飲みます。花倉の山から湧き出る地下水は、昔から「馬が若返る水」といわれたほどの良質なミネラルウォーター。この水と餌、豊かな環境が「秋山牛」の生育を支えています。

    その牛本来の能力を引き出す

    「良い牛をつくる農家さんの条件は一つ。それは一日中、牛をみているかどうかだ」(花城明伸社長)といいます。まさに、ちえさんは365 日、夜中にも2 回牛舎を見回りながら牛の体調をチェックし、実践し続けています。

    秋山牧場は、自分たちの目で選んだ、自分たちが育てやすい牛を購入し、その牛本来の発育に合わせて育成し、その能力を一番良い状態にどうやって引き出すのか、日々ひたむきに向き合っているのです。これらをみる限り、コンピューターで管理され尽くした現代的な牛舎だけが良い牛を育てる環境ではないことがよくわかります。何よりも生き物好きであること、今ある環境を楽しみながら、気負いなくそれを普通にやり続けること、それが秋山牧場の温かい人間力と肥育力が成せる技といえるでしょう。

    最後に、秋山牧場の抱負を伺った。「新たに挑戦してみたいことというよりも、どちらかというと、一頭一頭もうちょっと良い牛にできたら良いな」と言う、ちえさんのスタンスはあくまでも謙虚です。そして、母○○さんから消費者への願い。「和牛というのは、一般の消費者の方からみると値段だけみて『あ、高い!』というように思われてしまいますが、味で選んでもらえばありがたいです。」